組織概要

海の環境と生物資源研究会さくらえびラボは、2025年に研究者・漁業関係者の有志によって設立されました。


理事長挨拶

      海と生物資源への科学的理解と素養を育てよう

国内では、駿河湾のみで漁獲されるサクラエビは「駿河湾の宝石」とも呼ばれ、貴重な水産資源であるのみならず、海洋生態系の食物網の基礎であり、多くの海洋生物の餌にもなる重要な生物です。しかし、2018年以降急激な漁獲量の減少にみまわれ、漁業者、加工業者、関連小売業者、さらには地域経済にも深刻な影響を与えました。不漁の原因を解明し資源の再生を目指すべく、2020年には静岡大学研究者および有志による「サクラエビ再生のための専門家研究会」が発足し、大学と由比港漁業協同組合および大井川港漁業協同組合による共同調査および生態研究が進められてきました。

サクラエビの生物資源の回復を目指すべく、私たちは2020年以降、静岡大学においてサクラエビの群れの解析(体長、体重、性比等)、駿河湾の海水温と光の条件、サクラエビの餌となるプランクトンの動態、植物プランクトンの増殖に必要な栄養塩の分析を定期的に行ってきました。またサクラエビの産卵から人工飼育養殖技術開発の研究や、海洋生物に影響を及ぼす可能性のあるマイクロプラスチックの分析も行いました。これらの成果は学会や論文で発表するほか、メディアや漁業関係者と共有し、サクラエビ漁の回復に向けた活動を進めてきました。

しかしながら、持続可能なサクラエビ漁のためには、長年の駿河湾の生物調査が必要であり、科学的分析による、環境データを蓄積していく必要が有ります。

駿河湾は、豊かな自然環境を持っており、多くの漁獲を生み出しています。静岡県民にとって、豊かな生活環境となっており、観光や物流の要ともなっています。よって、駿河湾の環境状況を広く市民に伝えていく事が、市民の長期的利益になると考えます。

駿河湾をはじめとする日本の沿岸域にも海洋温暖化、海洋酸性化、海洋汚染(マイクロプラスチック、PFAS、油等)等の複合的要因により海洋環境が悪化し、海洋生態系へのダメージや水産資源の種交代や減少が起きております。こういった湾内の水質環境や、また水産資源を餌として支えるプランクトンなどの生物環境の調査・研究を行うことは、駿河湾の海洋環境や持続的な水産資源の活用考えるうえでも非常に重要な情報となります。駿河湾の水産資源の回復と豊かさを守る為にも、その海洋環境の保全が強く求められます。私たちは、静岡大学在職中、長期にわたり駿河湾の海洋環境を科学的に調査すると共に、様々なステークホルダーとその情報・知見を共有し、駿河湾の環境保全とサクラエビを始めとする豊かな水産資源を守るために持続的な活動を継続します。海や環境問題に立ち向かい解決する力を、科学的知見と素養に基づき進めて行きます。多くの人の賛同と参加をお待ちしています。

 

                        理事長 鈴木 款


組織概要

組織名非営利活動法人 海の環境と生物資源研究会 さくらえびラボ
(英語表記:Marine Environment and Resources: Sakuraebi Lab)
事務局〒422-8002 静岡県静岡市駿河区谷田15-11
Tel;
E-mail; info@sakuraebilab.org
活動目的駿河湾の海洋環境保全とサクラエビをはじめとする水産資源の回復・持続的活用を目指し、科学的調査と市民への情報共有を推進する。
活動内容このNPO法人は、駿河湾の海洋環境と水産資源の保全を目指し、長期にわたり科学的な環境調査を行っています。具体的には、サクラエビの群れの解析(体長、体重、性比)、水温や光の条件、餌となるプランクトンの動態、栄養塩の分析などを実施。また、産卵や人工飼育技術の開発、マイクロプラスチックの影響調査も行い、その成果を論文やメディアを通じて発信し、持続可能な漁業の実現に向けた取り組みを進めています。
創立2025年4月(認証:2025年1月20日)
所轄庁静岡市
会員数10名(法人賛助会員含む/2025年度現在)

役員

理事長鈴木 款静岡大学名誉教授 
静岡大学防災総合センター客員教授
副理事長三重野 哲静岡大学名誉教授 
静岡大学客員教授 
ふじのくに地球環境史ミュージアム客員教授
理事Beatriz Estela Casareto主任上席研究員 
静岡大学名誉教授 
ふじのくに地球環境史ミュージアム客員教授
理事大石 達也由比港漁業協同組合 組合長
理事鈴木 利幸静岡大学 特任准教授
理事杉本 隆成東京大学名誉教授
監事豊田 圭太主任研究員
監事石川 義朗(公益財団法人)環境科学技術研究所 研究員

設立理念と活動

特定非営利活動法人「海の環境と生物資源研究会さくらえびラボ」は、駿河湾およびその周辺海域の環境保全と生物資源の持続可能な活用を目指し、以下の理念に基づいて活動を行います。

  • 科学的調査とデータ解析
    • 駿河湾や沿岸域の環境・生態系を定期的にモニタリングし、得られたデータを科学的に分析・公開します。これには、サクラエビの群れやプランクトン、微細藻類の生態調査、栄養塩の動態解析が含まれます。
    • 人工養殖技術の確立を目指し、サクラエビやプランクトンの飼育実験を通じて漁業振興に寄与します。
  • 環境保全と持続的な漁業
    • 海洋環境の悪化要因であるマイクロプラスチックやPFASなどの汚染物質の影響を調査し、生態系の健全性を守る取り組みを進めます。
    • 海草・海藻による炭素固定(ブルーカーボン)の促進や、駿河湾の深層水利用の研究も推進し、持続可能な資源管理を目指します。
  • 市民との協働と教育
    • 市民や学生向けにセミナー、体験学習、講演会を実施し、海洋環境保全への意識向上を図ります。
    • ウェブサイトやイベントを通じて、調査成果や活動内容を広く発信し、地域社会との連携を強化します。
  • 未来への貢献
    • 長期的な視点で駿河湾の生態系を守り、次世代に豊かな自然環境を引き継ぐことを目指します。科学的知見を基にした提言を通じて、持続可能な漁業の実現を目指します。